映画のお話①映画は詳しくないけどオタクの作る映画が好きだ
社研とは全く関係のない、日常のお話。
ジストシネマの上映スケジュールを見たら、その映画は「2時間40分」と書かれていた。予告編込みの時間で。
私は一瞬「うぇっ、どうしよかな」と思った。
長い映画が苦手なのだ。上映中眠くなったり、映画館にいるときに限ってなぜかトイレに行きたくなったりする。
だからできれば2時間前後でお願いしたいし、一番助かるのは90分。
ポンポさんが言ってたくらいだ、私の「映画は短めで」という気持ちは別に非難されるもんじゃないと思う。(そうよね?)
しかし私が好きだなーと思った映画「アマデウス」なんかは本編だけで2時間40分あったし、やっぱり「あの」監督の最新作なんだから、と重い腰を上げて観に行くことにした。
結果的に、私が長いと思っていた2時間40分は一瞬で溶けた。
そう、ギレルモ・デル・トロ監督「ナイトメア・アリー」である。
めっちゃ面白かった。いきなり語彙力失くして申しわけないけどホンマ面白かった。
ていうかそもそも私は映画に詳しくないので、解説とか求められても全然できない。
新作映画をマメにチェックしているわけでもない。
映画を観て「これってこういうことか!」とか解釈するのも苦手。
だからここでは何も解説しないし解釈もできないけど、言いたいことは一つだけ。
「オタク」の作る映画って最高よね。
私はミーハーなので、デル・トロ監督の映画は「シェイプ・オブ・ウォーター」しか観ていない。
洋画とベネディクト・カンバーバッチにドはまりしていた時期、SNSの相互フォロワーさんがTLで勧めていた。
「ふしぎないきものと話せない女性の恋物語」って、なんか面白そうじゃんと思って観に行った。そして「シェイプ・オブ・ウォーター」はめちゃくちゃ私の心に刺さった。
もちろんその理由の一つは、主人公イライザを演じたサリー・ホーキンス。
不器用だけど、むかつくストリックランドには手話で「く・た・ば・れ」って言っちゃうチャーミングな役どころ。
ゆで卵を並べているシーンとか、なぜかものすごく可愛いのだ。
でももう一つはやっぱり、デル・トロ監督の作る世界観だと思う。
バスを降りるときに見える風景、主人公たちが暮らす少し汚れた空間、それからふしぎないきもの。
ちょっとグロテスクなところもあるけれど、だからこそ永遠に見ていられる。
そして今回の「ナイトメア・アリー」でも、それは同じだった。
社会の闇の部分を見たい、という暗い欲求は割とみんな持っているんじゃないかなと思うのだが、「ナイトメア・アリー」はその欲求をドストレートに突いてくる。
すこし寂れた感じのするサーカスのセットは、それだけで見ていて楽しい。
そこにどんどん泥沼へ嵌まっていく主人公と、超・妖艶なケイト・ブランシェットがいたら何も文句言うことなし。
最後のシーンなんて……おっと、ネタバレはしちゃいけないか。
個人的にラストはものすごく良かった。主演ブラッドリー・クーパーの表情や声も含めて、忘れられる気がしない。
さて、どうも私は「そこまでいったら過剰なんじゃないか?」と思うくらいの演出が好きみたいだ。
全然系統は違うけど、ウェス・アンダーソンの「グランド・ブダペスト・ホテル」「フレンチ・ディスパッチ」は可愛くて大好きだし、バズ・ラーマンの「グレート・ギャッツビー」もゴージャス過ぎて逆に好き。
同列に語るには共通点が少ない気もするけれど、私の中では共通している。
とにかく見ていて飽きない!
私は監督たちの「オタク」な一面を、彼らの過剰なこだわりを味わいに映画館に行ってみる。
大体パートナーと映画を観に行ったら「ちゃんと見てたんか~?」と訝しがられる私だが、分からないなりに、その映画の空気を吸いに行ってんだからいいんすよ!
こういう映画の楽しみ方も、別にありっちゃありじゃないだろうか?――なんて、誰に言い訳しているのか分からないけど、私は思ったりする。
(ひらみー)
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